起業者心得８か条

• 事業コンセプトの考え方をつかむ
  
  事業コンセプトをまとめるには、まず、コア・コンピタンス（＝事業の核となるもの）、KFS（＝Key　Factor　for　Success事業の成功の鍵）を検討してから、事業コンセプトを考察することが近道です。
  事業の核となるべき独自の強みをコア・コンピタンスといいますが、現在の強みに限ることなく、時間をかけて培っていく、事業の中核となるべきものを検討してみましょう。 KFSは、事業を成功に導くためのキーポイントは何か、という観点から検討し、箇条書きにしてみると良いでしょう。
  事業コンセプトは、事業の特徴と優位性を端的に示す骨組みとして表現して下さい。以下の５W１Hの方式を利用すると比較的簡単にまとめられます。事業コンセプトがまとまったら、事業コンセプトを簡潔にアピールできるキャッチコピーを考えてみましょう。
  
  《事業コンセプトのまとめ方例》
  
  

  キーワード 考え方の例 What？ What's　new？ どのような商品・サービスを提供しますか？ それはどこが魅力的なのでしょうか？ どこが従来にない新しい点なのでしょうか？ Where　＆　Whom どの市場を対象に、誰に対して提供されるものなのでしょうか？ How？ ビジネスの仕組みとして、いかなる方法で展開しますか？ どうやって“儲かる仕組み”＝ビジネスモデルを構成しますか？ Why？ なぜこの事業が必要とされると考えたのでしょうか？ あなたがその事業に懸ける動機や理念は何でしょうか？ When？ 製品等のライフサイクルの段階とあなたの事業参入の位置付けはどうなっていますか？ 今後の成長が確保できるタイミングで事業展開が可能ですか？

　　　顧客と販売ターゲットをつかむ

• 販売ターゲットは誰かを明確にする
  
  事業コンセプトの中で重要なのは、販売ターゲットは誰かを明確にすることです。 ターゲットとなる顧客について、以下の点等を参考にして特徴を書き出してみましょう。 （法人相手か消費者相手か、顧客の業種、規模、地域、性別、年齢、趣味や生活スタイル等）
  ターゲットの絞込みの方法には、さまざまなアプローチがありますが、以下に代表的なセグメンテーションの基準を示しておきます。セグメンテーションによって、販売ターゲットとそのニーズを明確にすることが出来ます。
  
  ＜販売ターゲットのセグメンテーションの基準＞
  
  

  分類方法 属性による方法 ライフスタイルによる方法 ベネフィットによる方法 内容 収入、年齢、性別、職業、家族構成、地域等の基本的属性によってセグメント化する方法 ライルスタイルによって消費をパターン化してセグメントを捉える方法 同様の便益を知覚するものをグループ化する方法 例 ・（地域）都市郊外に住む、（年齢）20代後半〜30代で、（家族構成）子供が幼稚園児の、（性別）専業主婦 ・（収入）年収1千万円以上で、（財産）持ち家のある、 （職業）サラリーマン ・趣味は何か ・衝動買いか比較検討重視か ・電車利用か車利用か ・愛煙家か嫌煙家か ・インターネット活用派か ・新聞 ・雑誌の購読状況はどうか ・早起きか深夜族か ・本物志向か価格重視か ・性能重視かブランド志向か ・新し物好きか否か ・カジュアル志向か格式重視か ・時間優先かサービス重視か

  
  

• 販売ターゲットの購買行動を分析する
  
  さらに、販売ターゲットとなる相手の購買行動のプロセスを分析して、どうやって販売ターゲットに対して、“売れる仕組み”が確保できるかを検討してみましょう。最終的に販売成績に結びつくターゲットに、どうすれば的確にアプローチできるのかを考えてみましょう。
  
  

  所在と規模について 　　　どこに、どれだけいるのか？

  価値基準について 　　　何故関心を持つのか？ニーズは何か？

  情報収集方法について 　　　どうやって情報を知り得て来るのか？

  購買判断基準について 　　　何故これを買おうと決断するのか？ （注１）

  代金支払者について 　　　　　　　ユーザーと同一か、それとも別人か？ （注２）

  
  注１ （価格が安いから、性能が良いから、自分に似合うから、有名だから、他社のモノより手に入りやすいから、おまけがついているから、等々の購買決定につながる判断基準や価値観についての分析を行う。）
  注２ （子供がユーザーで、両親が購買判断者で、祖父母が代金支払者というケース、ユーザーはホームページの登録会員だが、広告主がコスト負担者となるため顧客となるケース等には関係に注意をする。）
  注 “売れる仕組み”作り自体に関しては、次章の販売・マーケティングを参考にして下さい。この章では、事業コンセプトの重要な要素である販売ターゲットのみを取り上げています。

　　　ビジネスモデルを明確にする

• ビジネスモデルとは何か
  
  ビジネスモデルとは、「�@誰にどのような価値を提供するか、�Aそのために経営資源をどのように組み合わせ、�Bその資源をどのように調達し、�Cパートナーや顧客とのコミュニケーションをどのように行い、�Dいかなる流通戦略と価値体系の下で届けるか、というビジネスのデザインについての設計思想である」（慶応大学助教授、国領二郎氏による）と定義されます。専門家がビジネスプランを評価する上で、ビジネスモデルが“儲かる仕組み”を形成しているかどうかという点が重視されます。ビジネスモデルという言葉が、“儲かる仕組み”と同じ意味として使用される場合も少なくありません。

• “儲かる仕組み作り”が出来ているかを明確にする
  
  事業コンセプトの説明に当たっても、ビジネスモデルの考え方に沿って事業内容を説明することがポイントです。
  
  

  �@ 誰にどのような価値を提供するか？

  �A そのために経営資源をどのように組み合わせるのか？

  �B その資源をどのように調達するのか？

  �C パートナーや顧客とのコミュニケーションをどのように行うのか？

  �D いかなる流通戦略と価値体系の下で届けるか？

  という観点から、事業活動全体を構成するモノ・サービスの流れと数々の契約関係が構成される状況をビジネスモデルとして明確に把握出来るよう、関係図を描いてみましょう。
  ビジネスプランを聞く相手にも判り易く説明できるように準備しておきましょう。

　　　リスクファクターの把握

• 事業の問題点を考える
  
  事業の成功要因（KFS）だけでなく、事業のリスクや弱みについても検討して、克服すべき課題を洗い出し、対応策を検討しておきましょう。ビジネスブランには、将来に対する多くの不確実な要素が含まれています。将来のリスクを可能な限り予測し、リスクを最小限にするためにいかにコントロールしていくのかを検討することこそ、ビジネスプランを書く意義であるといっても過言ではありません。ビジネスプランを作成する場合、現段階での不確定な要素や問題点がどこにあるのかを把握しておくことは非常に重要です。

• 克服すべき課題の洗い出しをする
  
  ビジネスプランが前提条件とする、外部の環境と事業の進捗の関係、事業自体に内在するリスク、社内的な経営資源の問題等々について課題の洗い出しをしてみましょう。見積りや予測を基礎とした数値の変動、将来の不確実性、事業進捗の遅延の可能性、不測の突発事態で致命的影響を受け易い事項の存在等がないかどうか検討して下さい。
  株式公開の際に提出される「目論見書」や「有価証券届出書」にも、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項としてリスクファクターの開示がされていますので、この基準を参考とするのも良いでしょう。

• トラブルシューティングを検討する
  
  事業コンセプトをビジネスプランに記載する上で、リスクファクターを明確に認識して、その対応についての見解を示しておくことは重要なことです。あなたの事業に興味を示している第三者がビジネスプランを読む場合、リスクファクターに対する評価を必ず行うことを想定して準備して下さい。