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破 産 法 と は
 破産法は、再建型でなく清算型の整理法。債務者である倒産会社の財産をすべて換価し、これを債権者の優先順位と債権額に応じて配当を行う強制執行手続きである。大きく3つの形態があり、債務者である倒産会社自身が申し立てる「自己破産」、会社役員が自分の会社の破産を申し立てる「準自己破産」、第三者である債権者が申し立てる「第三者破産」に分けられる。
(1)
破産手続
1)
破産の申立て
 債権者、債務者又は債務者に準ずる者(法人の管理者等)は破産宣言を求める旨、申立の理由(破産原因が存在すること)等を記載した書面を裁判所に提出する(破産法132〜135条)。
2)
保全処分
 破産申立てがあると裁判所は破産宣告前であっても、利害関係人の申立て又は職権により仮差押、仮処分等の保全処分を命ずることができる(破産法155条)。
3)
破産宣言
 破産の申立てを受けた裁判所は通常、債務者に審尋を行い、破産原因等要件を備えていれば破産宣告を行う。破産宣告と同時に裁判所は破産管財人を選任し、債権の届出期間(2週間以上4か月以下)、第1回債権者集会の期日(破産宣告の日から1か月以内)及び債権調査の期日(届出期間終了から1週間以上1か月以内)を定め、官報に公告するとともに知れたる債権者、債務者及び財産所持者にその旨を記載した書面を送達する(破産法142条及び143条)。
 破産宣告により破産財団の管理処分権は、破産管財人に専属し(破産法7条)、破産管財人は遅滞なく財産評価額を評価し、財産目録及び貸借対照表を作成して裁判所に提出する(破産法188条及び189条)。
 なお、破産財団に属する財産が100万円未満の場合は破産宣告と同時に小破産の決定を行い、簡単な手続で処理する(破産法358条〜366条)。また、破産財団が貧困で破産手続の費用さえ償えないときは、破産宣告と同時に廃止決定を発する(破産法145条)。
4)
債権調査(破産法228条、232条、240条、241条、244条等)
 債権者は定められた期間内に自分の債権を様式に従って裁判所に届け出、管財人は調査して、これを認めるか否かを決める。裁判所は定めた債権調査期日に会合を開き、管財人及び関係者が出頭して意見を述べる。届出られた債権に異議がなければ、債権は確定し、債権表に記載され、その順位と額に従って配当が行われる。もし、債権について異議があった場合は異議を述べた者と債権者との間で債権確定訴訟を行う。
5)
債権者集会(破産法5章)
 4)と同時又は前後して第1回債権者集会が裁判所によって開かれ、管財人が破産に至るまでの経過と財産状態を報告する。なお、第1回債権者集会のみ法定化されているが、債権者集会はその後も必要に応じ招集される。
 また、破産手続中に破産者と債権者が和解を行い、裁判所が和議条件を認可して破産手続を終了させる方法(強制和議)の場合にも裁判所が債権者集会を開き、和議法の和議と同様の手続で和議条件が可決されなければならない(破産法9専)。
6)
換価・配当
 債権が確定すると管財人は債務者の財産を処分(換価−金銭化)する。これによって得られた金銭が、確定した債権の順位に従って、平等に(比例配分で)配当される(破産法6章、40条、8章)。
 配当が完了すると管財人の計算報告のための債権者集会を経て、裁判所は破産終結決定をする(破産法281条、282条)。
(2)
破産法の運用実態
 申立ての約5割が宣告に至っている。
(3)
破産における債権の取扱い(破産法40条)
 破産法は他と異なり法文上明確に同一順位にある債権(優先破産債権、一般破産債権及び劣後的破産債権の区分)は債権額に応じて弁済するとしており、解釈の余地はない。