起業家への提言!

飽和時代で新規需要が簡単に生まれない。これまでのような「顧客ありき」という発想ではビジネスも販売も成り立たない。「飽和市場だから売れない」といって、落ち込んでいては企業は倒産する。皆が困っている時こそ販売の絶好のチャンスである。この時代、どの企業も、新しい需要を切り開くことのできる能力をもった人材、「起業家精神」の持ち主が要望されている。起業家精神とは、新しいことを積極的にとりいれ、それを具体化し、実現する能力である。

【1.提案型営業が必要な背景】〜マイナス成長時代に〜
日本の2001年の実質GDPはマイナス成長と推測され、前年比を割ったようだ。さらに、2002年もマイナスとなる見通しが強い。これは総需要が増えないことを意味している。限られたパイの中で顧客の奪い合いになる。小さく閉じこもり、リストラや業務縮小だけでは生き残れない。新しい切り口の創造で顧客を開拓し、企業の発展を願うかしか道はない。マイナス成長という、飽和時代にビジネスで要求されるのは、今までと異なった切り口で仕事を開拓する「提案型営業活動」である。これまでの受注営業的なやり方のビジネスの発想と変えないと、生き残れない。
では、どうするか。
そこで今回は、「新しい需要を創造する為の、5つの鍵」を提案する。
【2.新しい需要を創造する為の、5つの鍵】
■1.「問題意識」「危機意識」をもつこと
この時代、ビジネスマンにとって、「企業がどういう状況にあり、何が問題か、どうしなければならないか」という、問題意識、いいかえれば「危機意識」をもっているかどうかが極めて重要だ。問題意識や危機意識のないビジネスマンは、この厳しい時代に取り残される。企業を伸ばすヒントは至るところにあるが、問題意識や危機意識でものごとを見ていないと、ヒントは得られない。社内より、社外、仕事に関係のないところにこそ「ヒント」がある。毎朝目にする新聞記事、商店街のにぎあい、通勤電車の中吊り、友人との会話異業種交流会の会話にヒントがある。が、「問題意識」や「危機意識」をもっていないと、貴重なビジネスのヒントも、ただの無駄な会話として聞き流してしまうことになる。

■2.「他社の成功事例」を集めること
最もビジネスのヒントになるのは、他社の成功事例だ。人の成功を見てうらやましがっていては進歩はない。全く異なった業界での成功事例がヒントになることが多い。人が集まる場所、話題のスポット、ヒット商品などの事例を多く集めることで、商売繁盛のヒントを見出すことができ、提案できるヒントが増える。

■3.「データベース化」すること
集めた「成功事例」や「ビジネスに生かすヒント」は、聞き流さないでメモとして残すことが大切である。いわゆる「データベース化」することだ。簡単な手法としては、スクラップブックをつくり、新聞の切抜き、チラシメモを貼り保存する。どんな記事を集めるかは、個人によって異なるが、自分にふさわしいテーマを決めると集めやすくなる。
例えば、「ヒット情報・商品」「人気売り場」「成功キャンペーン」などだ。最初は大変だが集め始めると結構楽しくなる。筆者のサゼスションでスクラップブックを作成している人が何名もいる。集めたデータを整理、要約してエクセルにデータベース化すれば、使用したい時にすぐ探すことができ最高だ。

■4.「企画書」にすること
色々なアイディアは、口頭で説明しないで「企画書」にすることをお薦めしたい。口頭での説明は誰が言ったのか、分からなくなること、アイディアを盗用されることもある。企画書にすることで、自分のアイディアが整理できること、また、自分の提案として残すことができる。企画書というと大変だなと思うかも知れないが、難しく考えないで、提案したいことを「論理的に起承転結を付け、魅力的なタイトルをつけ、具体的に」にまとめることだ。
これからのビジネスマンにとって、企画書づくりは必須となる。小生は「ザ・企画ー売れる企画88−」(ルーツ出版)をペンネーム登美眞で執筆したが、本の内容は販売促進のヒントやアイディアをまとめたものだが、本の帯に「1億総企画時代の企画ノウハウ集」と書いた。とにかく、自分の意見や提案は企画書にしないと役に立たない。企画書の書き方は小生のホームページ http://www.kikaku-party.net の中で簡単なテキストがあるので参考にするとよい。シナプスのセミナーで提案型企画書の書き方を教えているので、希望者は受講することをお勧めする。

■5.「結果の予測」をすること
5つ目は提案する内容の結果を予測することである。飽和市場の中で、結果の予測はかなり厳しいが、提案を受ける相手にしてみれば、投資に対する結果が見えなければ、提案を実施することができないからだ。ではどうして結果を予測するかだ。同様の企画実施例や近い事例があればそれをヒントに予測する。
自社にその資料があれば良いが、新しい提案の場合は自社にない場合が多い。そうなると、他社事例を探すことになる。といっても、事例の結果は企業秘密のため公表されることは少ない。その場合は、その道のプロ、専門雑誌、業界団体などから教授いただくという方法にある。日ごろから、人脈を広げ、相談できるプロとのパイプづくりが重要になる。また、ビジネスマンとして、何かを実施したら、結果がどうなったかというデータの入手に気を配ることが重要だ。